親父

朝の東道場の稽古を終え、実家に寄りました。

そういえば、先週も寄りました。

で、親父といつもの感じで世間話をしました。

最後に、

「もう長くない気がする。」

そう言って、杖をつきながら自分のソファーに向かってゆっくりと歩いて行きました。

今から考えると、あれが最後の会話でした。

昨年は松山まで四国交流大会を見に来て、香川の選手の勝ち負けをチェックしておりました。

徳島交流大会や、夏の中国交流大会も見に来ておりました。

「あの、たけとって言う子は強いのぉ!」

「はるかが勝てん理由が分かったぞ!」

空手はド素人なのに、私に技術指導をしに来て迷惑でした★

「早く○○や□□(私の息子たち)が試合するんが見たいのぉ!」

毎回、同じことを言っていました。

今年の四国交流大会、何故だか見に行くと言い出しませんでした。

たぶん、本当に弱っていたのでしょうね。

救急車で搬送された後、病院の先生方の懸命の処置で、何とか命が繋がりました。

CCUという、症状の重い患者さんが入院する部屋に移動しました。

親族が次々に集まりましたが、親父の意識が戻ることは最後までありませんでした。

みんなが話すことは親父の昔話ばかり。

親父は政治家でした。

でも、無茶苦茶な人でした。

昔タイプの政治家だったのでしょう。

いや、昔でもダメかな★

みんなが話す親父の思い出話ですが、最終的には親父の悪口になります。

いや、事実を話しているのだけど、最終的に悪口になるというか…♪

そして、その後につくひとことが、

「でも憎めんのやなぁ~」

CCUにいるというのに、爆笑が何度も起こっておりました☆

今から考えますと、

「親父は非常識なコトをしまくってたから、親父らしくていいな。」

そんな風に思います。

(隣の部屋にいらっしゃった方、気を悪くされておりましたら心より陳謝いたします。)

最終医療や葬儀について、生前にたくさんの注文をつけておりました。

守ったモノもありますが、私と兄で相談して父の要望に応えなかったモノも少しあります。

あの世で怒っとるやろな…

火葬場にて。

私の次男(一才)が、炉のある方向を見て、ずっとバイバイをしていました。

次男はまだ死を理解できる年齢ではありません。

そういえば、小さい子には霊が見えるとかいう話を聞いたことがあります。

親父、自分の肉体が火葬されるところも見に来てたのでしょうか。

で、親父が生前に一番可愛がっていた、私の次男に最後のバイバイをしていたのでしょうか。

次男はまだ喋れないので真相は分かりませんが…

何度も書きますが、息子から見た親父は、無茶苦茶な人でした。

死んでも涙など出ないと思っていたのですが…

そんな事ないですね。

正直、こんなに悲しい思いをしたのは初めてです。

最後にひと言でいいから、声を聞きたかったな。

そんな思いでいっぱいです。