組手が極端に苦手になるのは、第一に「恐い」からだと思われます。
また、技術的な面として、「防御」と「攻撃」の連携ができていないという問題もあるのかもしれません。
第二に、「成功体験」の少なさ、です。
試合で負けた際に、親から受けた罵倒。
声に出さなくとも、試合が終わったら即帰宅するという行動を親が取ったなど。
過程ではなく結果ばかりを親が重視してしまった末、子どもが試合を嫌がる、ひいては組手を嫌がるようになる、と。
こうなると、家庭の問題なので私はどうすることも出来ません。
試合前に、
結果にこだわりすぎないように!
心身を練磨するこの場にそぐわない応援や叱責をしないように!
と注意喚起する位しか、残念ながら出来ないのであります。
では、出来る事は何か?
それは技術を教え、考え方を教え、恐怖心を克服してもらう事です。
これにはたくさんの考え方や方法があります。
まず、根性論は役に立ちません。
そもそも、根性論でどうにかなる子は、組手が苦手という思考にはなりません。
最初から身体が柔らかい子や走るのが速い子がいるように、最初から組手が出来る子もいるのです。
しかし、このような子は、低学年の頃は勝てるけど、ある程度から全く勝てなくなるというのも事実です。
根性論だけではダメなのです。
話が逸れました。
幼い頃に犬に吠えられたとか噛まれたとかで、
犬に対して恐怖心が植え付けられた人がいたとします。
その人に、犬に慣れたら大丈夫だ!と無理やり犬と同じ檻の中に閉じ込めたとしたら、恐怖心が増すだけですよね。
何の効果もありません。
このような場合は、子犬と遊ぶなどのふれあいを通して、犬という生き物への恐怖心を無くしていく方法が効果的でしょう。
「犬=噛みつく、恐い」という思い込みを薄めさせていくわけです。
「犬=なついてくる、可愛い」という認識に変えられれば。
これを空手の組手に応用しますと、
「打たれるのが痛い」という子には、痛くない組手をするのです。
受けは、相手の気持ちを読む・汲む事が出来ないとうまく出来ません。
受けが著しく苦手なお子さんは、他人の心を読む事が極端に苦手な子が多いのも事実です。
そのような場合、どうしたら良いのか?
それは、親との練習なのです。
親子での組手稽古が最適です。
一番信頼しているお父さんやお母さんの気持ちを読む事は、お子さんは出来ます。
ご両親は痛い打撃はしてこないと信頼していますから、恐怖心に負ける事なく技術を練習出来ます。
技術としては、突きに対する腕での受けから初めていきましょう。
技術のコツはいくつかありますが。
次に中段以下の蹴りを膝、スネで受ける練習。
体重移動がスムーズに出来ないといけないので、立ち方に難がある子はこのレベルで躓きやすいです…
理由は様々あるのですが、今日はその説明は省略したいと思います。
1月に、親子空手教室を実施しました。
「組手苦手克服セミナー」と題して。
一時間の予定でしたが、延長して二時間近く行わせて頂きました。
この親子教室に参加してくれたお子さんの多くが、組手のレベルが大きく上がりました。
ちょっとした事で、人は大きく変わる事があります。
「経験の場」をたくさん作ってあげる事が、親の役割りなのかと私は考えます。
子が小さい頃は親が色々と教えてあげられますが、ある程度成長してくると、親が教えられない事はたくさんになってきます。
面倒くさがらず、また子どもの成長のためを思って、時間や労力を使う事が、子どもの成長の手助けとなります。
親が子の成長を手助け出来るのは、小学生の間までではないでしょうか。
中学生になったら、親が教えられない事の方が遥かに多くなってきます。
子に色々教えられる期間は、たった12年間位のものです。
それ以降は、親以外から子は学んで行きます。
親は少しの助言と、お金を出してあげる位しか出来なくなります。
家でのトレーニングに付き合う、
組手の練習に付き合う、
試合に参加する、
負けてもすぐに帰らない、
メイン道場以外にも稽古に行く、
四国合同稽古などにも参加する。
小学生時代、上記の事を行って下さったご家庭のお子さんは、
空手、強くなりました。
やれば出来るという自信を得ました。
その結果、
勉強も頑張る子になりました。
高松高校、高松第一高校、丸亀高校に進学しました🎵
その後の進路は言わずもながらかと。
前置きが長くなりましたが、組手が苦手な子に関しては以下のような練習をオススメします。
①防御➡️攻撃のパターン練習
ワンツーを受けて突きから上段蹴りを返すなどを練習させます。
初めはゆっくりとリラックスして、慣れてきたらスピードとパワーを上げていきます。
防御から攻撃への連携をマスターしてほしいので、防御➡️攻撃がパターンとして体に染み込むまで何度も練習させましょう。
②約束組手
あらかじめ、仕掛けてこられる攻撃を決めて(約束して)おきます。
これで恐怖心がかなり軽減されます。
その攻撃に対して、防御から攻撃につなげる練習をしていきます。
これもゆっくりと、リラックスした楽しい雰囲気で。
慣れてきたら、攻撃のスピードを上げたり、攻撃の種類を2~3種類にしたりなどと、少しずつ難度を上げていきます。
痛みによる恐怖心を与えないように、「成功体験」が増えていく練習を心がけます。
③健全な精神は健全な身体に宿る
肉体の強さが、心を支えます。
筋トレ、ランニング、ストレッチ。
お子さんと一緒に行えば、お子さんは強くなるし、ご両親も健康になります。
昔の生徒さんのお話ですが、お父様はある上場企業にお勤めでした。
お子さんを強くしたいけど、夜は帰りが遅い。
一緒にトレーニングしてやりたいけど出来ない。
そのお父様がしたことは、早朝練習でした。
起床時間を30分早くし、毎朝お子さんとランニング、筋トレ、ストレッチ。
たった30分と思われるかもしれませんが、毎日続ければ形になります。
お父様の愛情により、そのお子さんは全国大会の上位入賞の常連選手へと変身しました✨
試合前、お子さんは、「負けたらかっこ悪いからイヤだな」「相手の子は強いのかな?」「負けたらお父さんお母さんは不機嫌になるなかな?」とたくさんの不安を抱えています。
試合前の声掛けは、不安を少しでも軽減させ、前向きに試合に臨めるようにすべきです。
子どもを萎縮させるような言葉をかけている保護者、実は散見されます…
負けた場合、敗因の分析とともに「良かったところ」を見つけて褒めてあげましょう。
その上で、
次戦は、ああしよう、こうしよう、こういう練習をしていこう、と前向きな課題を共に考えましょう。
親がネガティブに思っていると、それは子どもに伝わります。
子は親の気持ちを敏感に察します。
親により、子がどのように育つのかが大方決まると言われています。
面倒くさがらず、たくさん手を掛けましょう。
たった12年位しか親の影響は受けてくれませんから。
その後は手をかけたくても掛けられなくなります。
三つ子の魂百までと言うように、
三才半で人格はほぼ完成し、六才で固まる。
中学生生活を送るための基礎を小学生の間に作りあげる。
どこの高校に進学するかで、人生は大きく変わる。
三才から小6までが、本当に大切な期間だとご理解頂ければ、面倒くさがる事など絶対ないですよね。
親子教室のご希望が多ければ、また開催します。
パーソナルトレーニングがご希望であれば、ご相談下さい。
組手だけが苦手な子など、いませんので。
高松西道場。
キッズクラスは昇級審査受審者向けの内容で。
ジュニアクラスも昇級審査を見据えて移動稽古と型を中心に。
香川県大会が終わり、ゼネラルクラスでは体力トレーニングは減らして組手の技術練習を中心に進めています。
「勝つ」という命題に向けて、一つ一つの技術を丁寧に稽古しています。