スタート地点

人見知りが激しく、稽古の輪に入れない。

道場の子たちと溶け込めない。

はたまた、

おふざけがひどく真面目に稽古をしない。

何回か試合に出たが、全然勝てず、今後も勝てるように思えない。

ずばり、

武道や格闘技はうちの子に向いていないと思う。

上記、退会していく子の保護者が言われる主な退会理由です。

今までで一人だけですが、自分が辞めることを知らずに親と一緒に道場に来た子がいました。
その子はいつも通りボール遊びを始めました。
で、お母さんは
「向いていないので退会させます。手続きをしたいのでお願いします。」と。
僅か10回程度の稽古出席数でした。
退会手続きを済ませ、息子を呼ぶお母さん。
「今日で辞めるから先生にご挨拶しなさい。」
それを聞いた息子は、
「えっ? ボク、空手辞めるん? なんで?」
「いいからありがとうございましたって言いなさい!」

その後、全く心のこもっていない「ありがとうございました」の言葉を残し、その親子は退出して行きました…

確かに「向き不向き」はあるかと思います。
上記の子は、確かに不向きなタイプの子でした…

最初から、

体が大きい子、

体が柔らかい子、

運動神経抜群な子、

負けん気が強い子、

などが向いていると考えられるのでしょう。

私ですが。
上記の全てがダメな子でした。
空手の才能なんて全く無い子でした。
向き不向きで言えば、超・不向きな子だったのでしょう。
体が小さいのは変わっていませんが、その他の部分は稽古を継続していく中で克服することができてきたかなと思っています。
ちょった「かじった」くらいですぐに諦めず、一度足を踏み出した道なのだから、しっかり頑張ってほしいと思います。

空手の道は、平坦な道ばかりではありません。
人生も同じだと思います。
たまたま、スタート地点が登り坂だったんです。
下り坂スタートの子もいるかもしれませんが、他人は他人、自分は自分です。

長い目で見てあげて下さい。

我が子を長い目で見てあげることこそが、本当の意味で我が子を信じ、愛することではないでしょうか。

人見知り、稽古の輪に入れない子の保護者の方。
お子さんとの接し方を今一度見つめなおして下さればと思います。

以前の話です。

稽古の休憩中、お膝に抱っこで汗を拭いてやり、お茶を飲ませてやり、サポーターも着けてあげているお母さんが言いました。

「うちの子は、どうして何もできるようにならないん?」

本気か!?
と耳を疑いました。

「子供が考える前に、お母さんが全ての事をしてあげているからです。」

腹が立ったのでしょう。
私がそう言うと、その母親はすぐに息子を辞めさせましたが…

ここまで極端な人は少ないと思いますが、今一度、子供への接し方を真剣に考え直していかないといけない方がいらっしゃるのではないでしょうか。

稽古の輪に入れない子の多くが、お母さんが稽古開始ギリギリの時間に連れてきます。
(だから友達が中々できない…)

馴染むために、早めに連れてきてあげて下さいというと、早めに来るのだけども、稽古が始まるまでその横にお母さんがピッタリ☆なんてことも。
(お母さんから離れるわけ無いです。何のために早く来たのやら?)

早めに来て、道場に子供を預けて帰る。

これが道場に馴染むコツです。

実際に家に帰らないまでも、子から見えない所に行くべきです。
下の子を抱っこしている姿なんて見せたら、甘えん坊さんは自分も抱っこしてほしくなるものです。

子供が親離れできていないケースは少数だと思います。

逆に、親が子離れできていないケースが非常に多いように感じます。
(母親と息子の場合が多いです)

色々書物を読んで勉強しましたが、夫婦不仲や嫁姑問題、夫の転勤などによるストレスが関係してくる問題のようですので、私もそこまでは首を突っ込めません…

で、ニートが作られていく…

難しい問題です。

さて、明日は支部内練習試合です。
勝ち負けや、試合内容等に様々な感情が沸きあがるかと思います。
保護者のみなさま、目先のことにとらわれないようにして下さい。
親が先に諦めたら、子はいつまでも成長できません。