いつものように車に乗って道場に向かっていました。
長い上り坂を上り、下り坂に入った時、車に異変が起こりました。
「なんかおかしい。」
そう思った時、エンジンの回転数が一気に下がりました。
ハンドルが急に重くなりました。
まず状況を分析。
下り坂である。
速度はそこそこ出ている。
前にも後ろにもたくさんの車が走っている。
道は片側一車線の道路。
当分止まれそうな広い所が無い。
肝が冷えました。
ブレーキは?
もしブレーキが効かなかったら?
どうなるのだろう…
恐る恐るブレーキを踏んでみる。
「ググッ…」
ブレーキは効くようです。
でも確信はありません。
ついでにアクセルも踏んでみました。
こちらは全く効きません。
ずっと先を見ると、なんとか駐車できそうなスペースがありました。
狙うはそこです。
「もしブレーキが効かなかったら、あの先の田んぼに突っ込もう。」
ハザードを付け、徐々に減速しながらそこを目指すことにしました。
アクセルが死んでいるので下り坂を利用して進むしかありません。
バックして入れ直したり、切り替えしたりは出来ません。
一発勝負です。
飛行機の着陸ってこんな感じなんかな、と思いながら無事に安全なスペースに停車完了。
「ほっ」としました。
こんなに「ほっ」としたことが過去にあるでしょうか!?
缶コーヒーを飲んでの「ほっ」とは比べ物になりません。
息子の顔、道場生の顔、大切な道場。
もう二度と見ることができないのかと数秒前に腹を括りましたが、なんとか命拾いしました。
さて、ここからが大変です。
まずは道場のこと。
道場から実家は近いので、母親に電話して道場に行ってもらう事にしました。
しかし、こんな時に限って母親は電話に出ない…
数回掛け直したところ、やっと出てくれました。
事情を話し、道場生と保護者のみなさんに説明してもらうように頼みました。
次は車です。
任意保険に、無料のレッカーサービスが付いています。
確か35kmまでだったか。
証券を取り出し、保険会社に電話。
出ない…
何回掛けても…
保険の意味無いやないか!!
と腹を立てつつ、仕方ないのでディーラーに掛けました。
今日は大阪で記録的な大雪が降り、そのため交通事故だらけだと。
保険会社はその対応に大変で、四国のレッカー車は応援で大阪に行っているので、いまこちらにほとんどいないとの説明。
なるほどなぁ、と思うが、それはそれです。
こちらの事情を話し、レッカー車の手配を依頼。
で、場所の説明をせねば。
見渡す限り、山・家・田。
困った…
高松からの道を話し、
「その道をずーっと真っ直ぐ来てもらったら、立ってますから!」
と説明。
分かってくれたのだろうかと心配しながら、車をディーラーまで運んでもらう手配が出来たので、次は自分の身です。
道場まで行かなければなりません。
嫁さんに電話して、拾いに来てもらうよう頼みました。
嫁さんは私がどの道を通って道場に行っているかを知っているので説明には困りませんでした。
と、上記のようなことが土曜日にあったのです。
キッズクラスの稽古開始時刻に100%間に合わないことが決まった時点で、すでに道場にいる私の母親の携帯に電話をしました。
「誰が来とる?」
と母に問うたのですが、母が生徒の名前を知っているはずもなく…
「黄色の帯の子がおるで。」
との答えが。
しゅんや!
と直感しました。
しゅんに変わってほしいと頼むと、電話にしゅんが出ました。
やはりしゅんでした。
「車が壊れてしまって、道場に着くのが遅くなるんや。悪いけど小さい子に十字型を教えておいてくれんかな」
と頼むと、
「おす・・・」
との返事でした。
頼りない感じでした。
しゅんは小学二年生です。
仕方ないことです。
稽古の残り時間20分のところで、道場に到着することができました。
階段を上がっていると、号令が聞こえます。
小さい子たちが走り回って、ギャーギャーと騒いでいる姿を想像していたので、もの凄く意外でした。
ん???
と思いながら道場に入ると、綺麗に整列してみんなで型の稽古をしていました。
聞いてみると、しゅん(小2)とナオヤ(小4)の黄帯二人で協力して、準備体操から始まり、間の休憩なども取りながら稽古をしていたそうです。
子供たちの成長に大変驚かされました。
キッズクラス終了後、しゅんとナオヤが、
「今日はとても勉強になりました!」
と言いに来てくれました。
愛車が壊れて非常に悲しい気分でしたが、良いこともあったようです。
「不幸中の幸い」とはこのことですね。
写真は、あるお母様が稽古風景を写メで送ってくれたものです。
しゅん先生が指導しています☆