「教えるけど、使ったらいかん」???

子供たちに、
「道場以外で絶対に使ったらいかんぞー」
と、言いながら突き・蹴りを日々教えています。
まだ幼い従順な子は、
「おす!!」
と、素直に元気よく返事をしてくれますが、小学校中学年ぐらいになると、
「何で使ったらいかんことを教えるん???」
と、鋭い質問を返してきます。

空手道には様々な先人がいて、とても素晴らしいたくさんの言葉を現代の我々に残してくださっています。
その中のひとつに

「空手道とは、人に打たせず 人打たず」

という言葉があります。

空手道の修行は、他者を攻撃する術を学ぶ為に行うのではない。
自らの身を守る術を学ぶ為である。
空手の術とは、他者に打たれないこと。
そして他者を打たないこと。
簡単に訳すとこのような意味だと思います。
現在では、競技試合が盛んな為、他者を攻撃する技を学ぶことが稽古の中心になってきていますが、型を見れば分かるように、護身術であるという本質は変わっていません。

そして、これは私の経験からきたことなのですが、
試合や道場での組手で、自分の得意技を相手にかけられることはあまりありません。
これは、その技を自分が良く使っているので、かける間合いやタイミングなどなどを知っているからだと思います。
つまり、道場で突きや蹴りを稽古することにより、あってはならないことですが何らかのトラブルに巻き込まれた場合、他者が突いてくる、蹴ってくることを読めるようになると思います。
また、「読める」ような自信を持っていると心に余裕ができ、そういったトラブルに巻き込まれることも少なくなると思います。
何より、トラブルを事前に回避できる能力が身につくと思います。
人間も動物ですから、本能的に、自分より強いと思う相手にはちょっかいを出さないものです。

哲学的なことを子供に説明することは難しいです。
しかし、非常に大切なことなので
「大人になったら分かる」
の一言で済ませるのではなく、きちんと説明してあげたいと思っています。

簡単にまとめると、
「突き・蹴りを磨くと、突かれなくなるし蹴られなくなるんだよ」ということになります。
いや、簡単にまとめすぎて益々分かりにくいな!?

このことを、一休さんのとんちみたいに子供でも納得するような答えを探したいと思います。